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冥途の土産?とんでもない!!

行く夏を惜しむ、この夏最後の花火大会。
秋田県大仙市、大曲の全国花火競技会を見に行くのは、ここ数年私たちの恒例行事になっている。

去年は父を一人置いて行く後ろめたさに喧嘩になってしまった。

なにせ、朝早く出掛け、会場は駐車場から数キロ先で、天候に恵まれれば熱さの中開始まで6時間程の待ち時間は暑さとの戦いで、雨になればそれこそずぶぬれになってしまう。

さらに、帰りは翌朝の3時か4時。
ひどいときには6時7時になってしまう。
高齢の父には無理だろう、と思っていた。

でも、こんなに素晴らしい花火を一度は見せてあげたい。
後ろ髪ひかれる思いで一人置いて行くのも辛い。

ならば、今年は連れて行ってみようか。

冥途の土産に、なんて陰で言いながら「大変なんだけど、大変なんだけど・・・」と誘ってみた。
「行ってみでもいいな。」父はあっさりと言う。

絶好の天気だ。
11時少し前に到着した。

高齢の父を思い、メイン会場では無く車を止めた場所から見るようにと、その真裏に陣取った。

まだ昼花火の開始まで6時間。
ビールを飲みながら昼食をとる。
「暑くない?水分は小まめに取ってね。昼寝するといいよ。」とにかく気遣う。

昼花火が終わって夕食。
「何食べる?これは?あれは?・・・沢山なの?お茶は?」とにかく気遣う。

期待通りの花火に父も感動していた。

全てが終わり車に戻ったが、一向に出られる気配はないのでその場で仮眠を取ることにした。
父は短い時間だったがいびきをかいて寝ていた。


眠気をこらえて運転している彼を気遣って、私は頑張って起きていたがかなり辛かった。
父は少し寝たかと思うとムクッと起き上がり何処まで来たか確認していた。

家に着くと3時半を回っていた。

車から降りると父はふらふらと歩けなくなっていた。掴まりながら玄関までたどり着き、這うように手を付きながら家の中に入った。
そのまま座り込んで頭を振り、「頭がクラクラする」と言っている。エコノミー症候群かも?
やっぱり父には無理だったのか。

父も彼も直ぐ布団に入った。私も顔も洗わずそのまま布団に入った。

父は大丈夫だろうか?寝息は聞こえるか?
朝の4時と言う時間に寝たということ、まさか父がこのまま息を・・・心配で、疲れているのにうつらうつらとしか眠れない。

5時過ぎに父が起きる音がした。
「あっ、大丈夫、生きてるな。」最近は朝晩涼しいからトイレを我慢できなくなって起きたのだろう。
でも、4時に寝たばかりだからまた寝るよな。

そう安心した私は、やっと深い眠りに入った。
が、6時のチャイムで目が覚めた時、父は起きたようだった。

朝ごはんを食べずにいつまでも寝ていることを父は許さない。
朝はいつもの時間に起きて、朝ごはんを食べてから寝るなら寝ろ!といつも言っている。
眠い、とにかく眠い。でも父に朝食を出したらまた寝よう。父も朝食を食べたら寝るだろうから。
そう思い起きだすと、父はもう着替えも済ませていた。

「今日は農協祭だから、9時半まで行く。歌に踊り、神楽もあるんだ。抽選会もあるんだど、何か当たるといいな。」ウキウキわくわくの雰囲気。

「トウモロコシ取ってくるから外に火を焚いて茹でろな。(熊が壊した)戸は俺でも直せそうだから寸法図って、ホームセンターさ行ってみでくっぺ。」

「父ちゃん眠く無い?」「ん?なすてもね。」

こっちは二人共ボーっとした頭を振り振り、だらだらと朝食の用意をした。
父はテキパキと動き、朝食もいつも通に食べ、畑に行ってトウモロコシを取って来た。
そして物置の寸法を測って、8時半過ぎに出て行った。

私は外に火を焚く元気なんか無いので、トウモロコシはガスで茹でた。

夕飯は、手をかけたくない私たちは焼き肉にすることにした。

父はいつものように食べ、いつものようにお酒を飲み、いつものように喋り、いつものように寝た。
私たちはまだ尾を引いてぐったりしている。

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