山菜採り初心者
「この味、香り。何も付けね方がうめぇな。こいづ山菜だべ?なんつぅ山菜や?」
「あのさぁ~!去年も一昨年も同じセリフ聞いたけど?」
「そうだったか????」
彼は野菜を作ったことも、山菜を採って食べたことも無い育ち。
ここに引っ越してきてから6回目の春を迎えたが、毎年毎年新鮮な感激を覚えているらしい。
「この間撒いた種、芽を出したな。人参だっけ?」
「はぁ?人参はまだ蒔いてないよ。この芽は水菜、あっちは春菊・大根・ほうれん草・山東菜にエンドウ豆。これはじゃが芋だよ。そろそろ覚えてもいいんじゃない?」
休み度に父の畑仕事を手伝っている彼。
畝立てをして、種を蒔いて。
でも、全く分かっていないよう。
仕事が定時で終わったのでまだ明るいうちに帰って来た。
父が散歩途中で採ったのか、蕨が6本台所に置いてあった。
これじゃ料理しようもない。
もう薄暗くなってきていたけれど、家の周りをまわってみると15本ほど採れた。
ん、『ひとがたげ』は食える。
早速ぼんぼりを取って洗い、重層を振りかけて熱湯を掛けてあく抜き。
翌朝の食卓に生姜を千切りにして混ぜて出した。
「うめぇ!うめぇな。」
「そこの山をちょっと越えると一杯取れるところがあるんだよ。行ってみる?」
「行ってみっか?!」
と言う事で、ここに住み着いてから6回目の春にやっと腰を上げた彼。
私が毎年行くすぐそこの山。
「これ、これがしどけ。その辺に一杯生えているよ。ほら、そこ。あそこにも。」
私が採った見本を右手に持って(左利きなので)、彼は必死に見本と同じものを眼を凝らして探していた。
「・・・・みんな同じにしか見えない・・・。」
「蕨が一杯あるよ!!ほらっ!一杯でしょ!!」
「・・・どれが蕨?みんな同じ草だ。」
今度は見本のワラビを持って必死に探している。
なんか違うよなぁ?
私なんかただ歩いているだけで、あっワラビ、そっちにはアイコ、そこにはウルイ。と目に付くのだが・・・。
私の10分の1程の山菜しか採れなかったけど、彼はそれでも初めて自分で採った山菜に満足していたようだ。
ムフフ。君はそうやって、どんどん田舎の暮らしにはまっていくのだ。
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